はじめの一歩 ~2022年 春~

投稿日: カテゴリー: 園長先生からのメッセージ日々の子ども

例年になく残雪の多い4月ですが、暖かな日差しの中に春を感じられるようになりました。よくよく見ると、そんな雪の端っこから、ふきのとうやクロッカスが今年もちゃんと顔を出していて、自然の力に驚くと同時に、喜びが湧いてきます。

さて、今年も幼稚園は一つ進級した事にわくわくしている在園児さんと、幼稚園ってどんなところかな?とどきどきしている新入園児さんを迎え、新たな一年がスタートします。

新入園児さんにとっては、ご家族の元から一歩を踏み出し、もう一つの自分の居場所を見つける特別なスタートです。生まれて数年しか経っていないお子さんが、初めての社会に飛び込むのですから、これはもう人生の中でも本当に大きな出来事です。

「友達」は、お互いに健やかに成長するために、なくてはならない「太陽」のようなものです。子ども達は子ども達自身の関係の中で成長します。「こどもだけの世界」の中で様々な経験を積み、お友達を育て、自分も育てられます。

自分の気持ちを言葉にして伝えあい、気持ちを共有する経験をします。いっぱい笑って、時々けんかもし

て、泣いたり、仲直りしたり、励ましたり、励まされたりする経験もします。その積み重ねの中で、自分がしてもらって嬉しかった事を、友達や家族にもしてあげたいという気持ち、そして自分がされて嫌な事は、周りの人にもしない、という人間関係を築くための大切な力が育っていきます。

そして幼稚園は、お父さん、お母さんにとっても「親」としての目で、新しい世界を広げていく場所でもあります。お子さんを真ん中に、ご家庭と幼稚園とが手を繋ぎ、温かな円い輪で包んであげられるようなイメージで、幼稚園生活を共に創って頂けたらと願っております。

ぶかぶかの制服に身を包み、小さな背中に大きすぎるくらいのリュックサックを背負った姿を、そしてあどけない表情を、どうぞ覚えていてください。2年後、3年後には見違えるほど心も体も大きくなり、立派になったお子さんをまたこの場で祝うその日まで、共に歩んでまいりましょう。

お子さんとご家族の幸せのために職員一同尽力して参ります。どの子も楽しく通える園生活を送るために、皆様のご理解ご協力をどうぞよろしくお願い致します。

                                    園長  佐々木 圭子

誰も見ていなくても、神様はいつも見ているよ

投稿日: カテゴリー: 園長先生からのメッセージ日々の子ども

「これは本当に2月の景色なのかな…?」と園庭の雪の山を見ながら首をかしげています。 例年ですと、そろそろ気温も上がってザラメ雪になり、「雪遊びもそろそろ終わりだね~」…などという会話が聞かれる頃なのですが、今年はきっと雪雲が間違えて運んできたであろう膨大な量の雪を見つめるしかありません。子ども達は質の良い雪を長い期間楽しめたので、それはとても良かったのですが、春はまだまだ先かなあ…とため息をつきたくなります。

とはいえ、カレンダーはもうすぐ3月。保育室からは卒園の歌も聞こえてくる時期です。今はこんなに大きくなった年長さんの、小さかった頃の姿が思い浮かびます。私にとっては、3年前に一緒に虹の森カトリック幼稚園に入園した“同期”でもあります。大人しくて、ほとんど声を聞く事のなかった男の子が、今は自分の思いをちゃんと言えるようになり、皆をリードして園庭を走り回っています。声の大きさも表情も控えめだった女の子は、小さい子のお世話を率先してくれる素敵なお姉さんになりました。「幼稚園なんて大嫌い!!」と怒って泣いて蹴とばして(⁈)、玄関で2時間近く頑張った子も、今では周りをよく見て色々と気づいて手伝ってくれるお兄さんになりました。

こんな子ども達の成長を振り返ると、やはり縦割り保育の、年上の友達や年下の友達と一緒に過ごす時間の中で得られたものは大きかったと思います。初めは何もできなかったけれど、必ず誰かが助けてくれました。時には手を取って優しく教えてくれました。そうして自分でも一生懸命挑戦していくうちに、「自分でできた!」を沢山経験した子ども達です。やがて次の春が来て、自分より小さな子ども達と出会った時に、その子達を助ける役に回っていく事で、経験を上塗りしてさらに自分の力にしていくことができる、そんな二年、三年だったのではないかと思います。どのクラスでも成長のループがしっかりとできてきた事を実感しています。

大きく成長した年長さんですが、小学校ではまた一番小さな存在となり、新しい6年間がスタートします。心の中に迷いができた時には「誰も見ていなくても、神様はいつも見ているよ」という言葉を思い出して欲しいと思います。誘惑に負けそうな時、ずるさや弱さに負けそうになった時、「さあ、どっちを選択する?」と自分に問いかける場面が必ず何度もあります。そんな時、この言葉を思い出して「より善い方」を選び取っていける人になって欲しいと願っています。

「自分がされて嬉しい事を、誰かにもしてあげよう」。カトリックが目指す平和の教育を、こんなシンプルな言葉に置き換えて子ども達に届けてきたつもりです。反対に「自分が嫌なことは、相手にもしないこと」。これらは2つで1つです。自分の事を大切に、そして周りの人も自分と同じように大切にできる人になって欲しい…それが私達の願いです。

願ったり、祈ったり…が沢山ありすぎて、欲張りだなあと自分でも思います。でも、卒園の子どもを送り出す時にはこの感情がぎゅっと溢れてしまうのです。毎日一緒にいることはできなくなる子ども達へのエールと愛と。私達はここからずっと、お子さんとご家族の皆様の幸せと健やかな日々をお祈りしています。

最後にあらためまして、保護者の皆様には、本当に沢山のご理解ご協力を頂き、心より感謝申し上げます。皆様のご対応にどれだけ助けられたかわかりません。まだまだ大変さはありますが、少しでも明るく、自由な日々に近づく事を心からお祈りしております。                

                                      園長 佐々木 圭子

職人技(⁈)
いっぱい雪遊びを楽しみましたね!

3学期スタートしました!

投稿日: カテゴリー: 園長先生からのメッセージ日々の子ども

雪の降り始めが遅い冬だと思っていたら、あれよあれよという間にどんどん積もり、子どもは喜び、大人はがっくり…という冬休みだったのではないでしょうか?

どこも除排雪が追い付かず、特に運転される方にとってはどの道も譲ったり譲られたりで、時間もかかりますが、どうぞお気を付けてシーズンを乗り切っていただきたいと思います。

さて、このドカ雪も子ども達にとっては自然の恵みであり、園庭の雪山も随分大きくなりました。雪の中の子ども達を見ていると、自分の幼稚園の時の思い出と重なります。ある日の事、4~5人ずつで協力しながら、雪で一頭の動物を作る時間がありました。それぞれ散らばって作るので、全体で見ると動物園が完成する!というものだったと思います。

初めは寒くても、一生懸命作っていくうちに体がポカポカ温まり、しまいには手袋を脱ぎたいくらい暑くなった事や、途中で疲れてぼーっと眺めた青空、目を開けづらいほど雪が眩しかった事が記憶に残っています。そうして頑張った甲斐あって、私たちのグループの“きりん”は大きくて、ちゃんと自立し、上に乗る事もできるすごい作品になりました!!

…と思っていたのですが、今写真を見ると、それは「???」な不思議な形の、小さな、かろうじてなんとなく動物に見えなくもない…という雪像でした。記憶とのあまりの違いにびっくりしました。

それでも、私たちは気に入って、次の日も友達とその“きりん”にまたがったり、雪玉を作ってぺたんとつけてさらに立派にしたりして、暫くの間楽しみました。私達の目にはちゃんと“きりん”に映っていたのです。

こんな風に雪遊びに夢中になれる時期は、これから数年間の事かと思います。寒さに負けず、逞しく、自然に思い切り身体をあずけて遊べる貴重な体験を沢山させてあげたいですね。真っ赤なほっぺで遊ぶ子ども達の姿は、私達の子どもの頃の記憶を呼び戻し、それが変わらずここにある幸せと安心を感じさせてくれます。

さて、園では今年も雪の運動会を開催する予定です。そんな“きりん”の時代からあった、懐かしい「みかん探し」ゲームも盛り込みます。冷たい雪の中から見つけたみかんを、温かい部屋で食べるおいしさも、一緒に楽しみたいと思っています。

相変わらず不安をぬぐい切れない日々は続いていますが、ご家族皆様が明るく、笑顔で過ごせますよう心よりお祈りしております。本年もどうぞよろしくお願い致します。

   園長 佐々木 圭子

                                    

クリスマスへの時間

投稿日: カテゴリー: 園長先生からのメッセージ日々の子ども

天気予報にはいよいよ雪だるまマークが並び、朝の水たまりには厚い氷が張っています。空気がぴんと澄んで、月や星が綺麗に見える季節になりましたね。

幼稚園はクリスマスへ向かう時間が流れています。毎朝「おほしがひかる」や「しずけき」(きよし この夜)の歌が聞こえていて、普段の子ども達の会話の中では…例えば廊下を歩いている時や、並んで手を洗っている時などに、突然劇のセリフのやりとりが嬉しそうに始まったりします。

年少さんは、遊戯の曲の踊りについて教えてくれ、サビの部分を歌いながら見せてくれます。

そしてある朝には、登園するなり「グロリアってどういう意味?」と年長さんに聞かれました。本来は“栄光、賛美する、”といったような意味ですが、「イエス様おめでとう」っていう意味だよ、と伝えました。「そして、イエス様が生まれた事を喜ぶ事、嬉しい事だよ」、と。聖劇の歌に出てくる言葉の意味について考えるところが、さすが年長さんだなと嬉しくなりました。

そんなクリスマス会について、今年も一足早く、ご紹介しますね。

満3歳さん、年少さんは3つのクリスマスの踊りを発表します。曲に入り込みながらノリノリで踊っています。毎年の事ですが、お父さんお母さんを目の前にしたら、どんな姿になるかなあ…と楽しみ半分、ドキドキ半分です。泣いたり、固まったり(⁈)手を振り続けたり…色々な姿があるかと思いますが、そこも含めて、この時期ならではの可愛さをどうぞお楽しみください。

年中さんは名作「ポンタのじどうはんばいき」の創作劇を演じます。じどうはんばいきに欲しいものを言いながら葉っぱをいれるとあら不思議…⁈願いが叶うのです。最後のぽんこの難しい願いは叶うでしょうか…?絵本の世界を子ども達の身体と声で元気いっぱい表現します。

年長さんは憧れの聖劇に挑戦します。登場人物は毎年変わらないのに、その年ごとの子ども達の個性がしっかりと出て、オリジナルの劇になるのが聖劇の不思議さと面白さです。自分が演じるそれぞれの人物に、どんな意味や役割があるのかを知り、一人一人が主役である物語を作り上げます。この劇を通して、クリスマスの本当の意味が心に残る事を願っています。 聖劇の最後に歌うグロリアが、皆さんの心を清め、喜びの時間をもたらしてくれますように…                     

子ども達の頑張る姿は、保護者の皆様に何にも代え難い喜びと幸せを運んでくれることでしょう。

そしてクリスマスという日が、ご家族皆様で心豊かに、自分の周りだけでなく世界の人々の幸せを思い、祈る日となります事を心から願っています。どうぞ温かいクリスマスをお迎えください。

                    園長 佐々木 圭子

 

   4本のろうそくに火が灯ったら、クリスマスです                                

冬のしたく

投稿日: カテゴリー: 園長先生からのメッセージ日々の子ども

銀杏が鮮やかな黄色に色づき、ななかまどは実も葉も赤くなってきましたね。

寒い朝が増え、子ども達の上着にはひも付きの可愛い手袋がぶらさがる季節になりました。 

先日、玄関で帰るお子さんを見送っていた時の事、五本指の手袋になかなか指を入れられず、じっと手袋を見つめている3歳のお子さんがいました。指が入っていない所と、ぎゅっと二本入っている所があるのです。「まだちょっと難しいねえ」とお手伝いさせてもらいました。親指から一本ずつ、「お父さん指はここ、お母さん指はここ…あれ?お兄さん指がいなくなっちゃったね??ちょっと上にひっぱってみるよ」などと言いながら一緒にやり直しました。初めはじっと見ていただけの子も、だんだん楽しくなって、「赤ちゃん指は、入るかな?」と一緒に指を動かし始めます。全部入ってすっきり、にこにこになりました。

このようにちゃんとそれぞれの位置におさまった時の心地よさを体感すると、一つの穴に二本の指が入っている窮屈さに「あれ?なんか変だなあ」と自分でやり直すようになります。最初にゆっくり関わって教えてあげると興味が湧くので、「自分でやってみたい!」という気持ちが育つのはより早いと思います。

今回は帰りの時間だったので、一緒にやってみましたが、お子さんが初めて挑戦する事については、まずは「やって見せてあげる」のが一番です。その時には、見せながら、「ここはこうするんだよ」と言葉で同時に伝えずに、「見せるだけ」。視覚の情報だけに集中させると良いと思います。“見ながら話を聞く”という視覚と聴覚の2つの情報を同時に処理するのは難しい事です。例えばボタンやチャックなどの身支度について教えてあげる時は、大きめの見やすい物で練習すると、今見た行動を写し取るようにできる事もあり、その姿に大人が驚く事もしばしばです。

そして大人はつい手を貸してあげたくなるものですが、やってあげるのではなく「自分でできるように手伝ってあげる」という意識を持つと、自然と言葉がけやかかわり方も変わってきます。これはモンテッソー教育の基本であり、一番大切にしている事です。

時間がある時には、「やってみる?ちょっと見ててね」と言って、まずは見せてから一緒にやってみてください。お子さんが集中して頑張っている間は、大人も手と口を出さないようじっと我慢です。そして、できた時にはたくさん褒めてあげてくださいね。それは同時にお父さんお母さんの大きな喜びにもなるでしょう。

衣替え、冬支度は自分でできるようになるチャンスです。雪景色、冬の遊び…それらを想像しながら、冬を楽しみに待てる時間になるといいですね。

                                       園長 佐々木 圭子

 ツタの葉っぱも秋の最後を彩っていました…