経験の引き出し

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早いものでもうすぐ11月…朝夕の気温がぐんと下がり、ナナカマドの実の赤が可愛らしく映える季節になりました。手稲山の初冠雪を見て、そろそろ冬の支度を始めなきゃ…と思っているこの頃です。

この秋、子ども達は色々な経験をしました。芝生が整った園庭では、自然と靴を脱ぎ、感触や匂いを味わい、大の字に寝転がって目をつぶったり、空を見上げたり…と、自然と気持ちの良い事を求めて行動している姿がとても素敵で、保護者の皆様にもこの微笑ましい光景をぜひ見て頂きたいなと思っていました。子ども達は本能的に気持ちの良い事を知っているのですね。お日様の光を浴びながら、雲を眺めている子ども達。園庭はますます幸せな風景が広がっています。また、コーナー遊びではせっけんを削って、泡立てて、生クリームのようにしてパフェやケーキを作ったり、オンコの実を取ってつぶしてジャムに見立てて遊びました。他にも公園で集めたどんぐり(今年は豊作‼)でゲームをしたり、制作や小麦粉粘土でどんぐりパンに使ったり…などなど自然の物にたくさん触れて、楽しい経験をいっぱいしました。

そして皆で何かを作る時、あるいは一人で作る時、「どうやって作ろうかな?」と考えている頭の中では、新しい事を生み出すために、実はこれまでの経験を引っ張り出して、そこからヒントを探しています。どうやったら目の前のこの課題を解決できるか…と無意識に過去の引き出しを開けているのです。そのうちに目の前のそれと、過去の経験がふと一本の線で繋がって、「あ!これならいけるかも!」とアイデアを思いついたりするものです。それは実際に自分が経験していなくても、目にしただけ、覚えていただけ、の記憶だとしても、とても役に立ちます。

未来の課題をクリアしていくためには、日々いっぱい見て、感じて、嬉しかったり、感動したり、という今の時間が大切。全ての経験がこれからのヒントになると思えば、ますます欲がでてきますよね。あれもこれも、子ども達に様々な経験させてあげたいなあと…。

それには大人の柔軟性や瞬発力も不可欠です。「あ!これをあの子に見せてあげたいな。やらせてあげたいな」という瞬間がきっとご家庭でも沢山あるのではないでしょうか?先生達も子ども達の“今”を見つめています。みんな、この絵本が大好きだな…ならこんな活動に発展してみたら喜んでくれるかな?最近こんな事に興味があるみたい…なら、これを提案してみよう!と。柔軟に活動を深め、興味の幅を広げ、縦に横にと落とし込んでいます。きっとこの時も、先生方の頭の中は過去の経験の引き出しの中からこんな事やあんな事が出てきて、ぱっと結びついているのでしょう。子ども達の姿をしっかりと捉えながら、頭と体をいっぱい使って二学期後半も楽しみたいと思います。 

もう一つおまけになりますが、誕生会でるみ子シスターが「ありがとう」の言葉にして伝えましょう、と言うお話をされていました。思っているだけでは伝わらない、と。それは家族の中でも、社会でも同じです。お礼を上手に伝えられる人の周りには人が集まってきます。恥ずかしさや、照れはもちろんありますが、「ありがとう」は人間関係の潤滑油だと思っています。ほんのちょっとした時に、自分から、いつもより一回多く「ありがとう」を伝える11月にしてみませんか? きっと嬉しい「ありがとう」が返ってくる事でしょう。 

                                     園長 佐々木 圭子

おまけ

たくさん頂いたおもちゃかぼちゃ。好きなように作っていいよ!と言ったら誰かがこんなマスクカボチャに…😆💕

日に日に寒くなりますね。皆様もどうぞ体調管理にお気を付けください😊

秋の子どもたち

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 秋分の日を過ぎ、陽が落ちるのもすっかり早くなりましたね。雪虫の話題も出始めて、カレンダー通りに秋が一歩ずつ深まっていくのを感じています。

 先日は親子遠足にご参加頂き、ありがとうございました。予報以上の雨で、急な時間変更もあり、大変ご迷惑をお掛け致しました。時折強い風や小雨もありましたが、子ども達の思いを遂げられて良かったです。数年振りの開催で、体力的に心配な面もありましたが、無事に楽しい一日を過ごす事が出来ました。ご理解ご協力をありがとうございました。

 さて、最近の子ども達は10月開催のお店屋さんごっこの取り組みを通して、クラスや学年を越えた交流をしています。普段の制作とは一味違った素材や用具の使い方を知り、楽しんでいるようです。どんなお店屋さんにするか子ども達の意見を取り入れ、どうやったらそれを具現化できるかを考えながら進めていきます。グループ活動の日は、終礼で先生達が情報交換をしていますが、新しい交友関係や、それと同時に取り組みへの意外な姿や表情が見られたりと、嬉しい驚きがあります。この活動が、また一つのきっかけとなり、新たな興味の扉を開くと良いなと思っています。

 扉と言えば、先日初めて“動物園のお話を聞く&お面を作る”活動をしました。これは、当園の保護者であり、この春まで円山動物園職員でもあった坪松さんが、幼稚園で動物園ごっこをするなら…と、動物園のお話とお面作りについてご提案頂いて実現した活動です。動物園の方しか知らないお話や、裏方で働く飼育員さんや獣医さんのお話を聞く事もできて、とても楽しい時間となりました。また、動物のお面をデザインしたご本人で、小学生や親子向けのワークショップなども開催している武蔵女子大学の若林先生にもお越し頂き、一緒にお面作りができた事は貴重な体験となりました。子ども達のために…とお力を貸して頂き、心より感謝しております。

 さて、このせっかく頂いた学びをその時だけで終わらせるのはもったいない!これもご縁であり、きっかけですので、立体お面を作った流れで、立体物の製作ができないか…そして動物のお話を聞いて分かった事を、自分達で書いて、或いは描いてみる事は出来ないかな…と頭の中であれこれ今後の活動を考えています。あるクラスでは、その後立体の箱を出してみたらそれに夢中になり、自由製作が続いているようです。それなら、展開図を使った発展も何かできないかな…と色々と調べている所です。一つの扉から、どんどん別の扉が開いていく感覚にわくわくしています。子ども達と相談しながら、また面白い活動に繋がりましたらご紹介しますね!

 その他園庭では、色水遊びで、自分だけの色を作って日にかざし、その美しさを楽しんだり、これからは石鹸遊びなど、感触と見立て遊びを楽しむ予定です。手先を使ってずい分長い間集中して取り組めるようになってきました。園庭の芝生も緑を増し、もう少しで根付く予定です。気持ちの良い感触を味わえる園庭の完成を楽しみにしています。

 秋の深まりと共に、子ども達の育ちも実る2学期です。興味や関心の幅を広げ、子ども達のやってみたい!を沢山実現させてあげたいと思います。           

                                     園長 佐々木 圭子

~芝生の園庭が完成しました!~😍👌

その後時間は流れ…芝生の園庭が完成しました!自然と寝転がったり、側転をしたり、はだしで走る姿が見られるようになりました。大の字になって空を見上げている子ども達を見ると嬉しくなります。ますます幸せな風景が広がっている虹の森の庭に、ぜひ遊びに来てください!

2学期スタートです!~夏休みのわくわくのお話~

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暑かった夏休みも終わり、いよいよ2学期が始まりました。今年はオリンピックもあり、更に“熱さ”も感じた夏でしたね。パリとは時差があり、リアルタイムでの観戦は難しいなと思っていましたが、初めて見る競技や日本のお家芸と言われる競技、それぞれのオリンピックならではの迫力に引き込まれ、つい夢中になって夜更かししてしまいました。世界の選手の前では、日本人はどうしても体格的に不利な競技も多く「これは勝てそうにないかな…」とつい思ってしまうものもありましたが、だからこそ、果敢に挑み、そして技で勝ち上がっていく姿に大きな感動をもらいました。 

子ども達にも、1学期終業式に「オリンピックを見て、すごい選手たちを応援して楽しんでね」と伝えました。様々なスポーツを目にして、一瞬でも「わあ!すごいな!」と思ったり、勝つ姿、負ける姿、頑張って挑戦している姿を見て、何かを感じたり、スポーツそのものに興味を持ったり…と、4年に一度の祭典を楽しめてたらいいな…と思いつつ観戦していました。

さて、この夏休みに感動したものは他にもありました。楽しみにしていた鳥獣戯画(京都 高山寺展)と妖怪(水木しげるの妖怪百鬼夜行展)達に出会い、子どものようにわくわくしてきたのですが、もう一つ、ぜひ子ども達にも見せてあげたい!と思ったのが、絵本作家の降矢ななさんの原画展でした。これがとても美しく、素晴らしい展示でした。「めっきらもっきらどおんどん」「やまんばのむすめ まゆシリーズ」「おれたち、ともだち!シリーズ」は子どもたちにも人気の絵本です。特に「めっきらもっきら…」は、原画の前を行ったり来たりして何度も眺めてきました。まだ勤めて間もない頃、この絵本に出会い、面白さに引き込まれ、初めて自分で買って読み聞かせた思い出深い本です。それからも毎年、担任した子ども達に繰り返し読み聞かせてきました。

言葉がころころとリズムよく転がり、ページをめくるごとに場面変換にわくわくし、特に途中でページが縦になるのがその頃はとても新鮮で、子ども達もそこにくると必ず「わあ!」と声をあげて笑っていたのを覚えています。おまじないのような言葉も耳に残り、読み終わった後に不思議な世界から現実の世界に戻ってきた感が、主人公と一緒にリアルに感じられる、まさに絵本の世界に入り込めるおすすめの絵本です。機会があったらぜひお子さんと読んでみてください。

そして降矢さんの絵本の素敵なところは、最後にはいつも「家族」や「ともだち」のところに帰ってくるところです。主人公は、沢山の人や動物や、その他不思議な生き物と仲良くなって、遊んだり、泣いたり、笑ったり…と、いっぱい冒険して、でも最後にはちゃんと家族が待っている場所へ帰ってくる…そんなホッとする温かいラストがとても魅力的です。子ども達の生活もそうであったらいいなと思います。外の世界で、いっぱい身体と頭を使って、色々な経験をして、そして安心できる家族の場所に帰ってくる…その繰り返しで豊かで逞しい心が育っていくのでしょう。

そんな夏の余韻を感じながら、2学期も「わくわく」や「へえ~っ?!」や「すごい!」をいっぱい経験してもらえるよう子ども達と過ごしていきたいと思います。今学期もどうぞよろしくお願い致します。                                

                                     園長 佐々木 圭子

ステップアップ!

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色とりどりの花や、樹々の葉の初々しい緑に囲まれる気持ちの良い季節がやってきましたね。

子ども達は少しずつ運動会に向けての活動が始まり、先日初めて、全園児で体操に取り組みました。初めからノリノリで踊っている子や、立ち尽くす子、ところどころ、なんとな~く(⁈)参加している子…とそれぞれの性格が出るなあと、面白く見ていました。初めから見よう見まねで身体を動かしてみる子もいれば、慎重派さんはひたすら周りを観察しています。この子達は、ある程度覚えて自信がついたら、ある日突然踊りだしたりするものです。

一か月後の運動会では、皆どんな風に踊っているのかなあ?ととても楽しみになりました。そうそう、曲は皆さんも聞き馴染みのある「ジャンボリーミッキー」ですので、運動会のオープニング、ぜひご一緒に踊って下さいね!

運動会の取り組みの中で私達が大切にしていること。それは、今持っている力より、ちょっとだけ難しい事に挑戦する過程です。子ども達が興味を持って楽しめる事が大前提で、そして頑張りを認めながら、少し斜め上から手を差し伸べて引っ張ってあげるイメージでしょうか。

教育の中では、それぞれの子どもの発達段階の見極めと、それに対して適切なタイミングでアドバイスやサポートをしていく事が、とても大切だとされています。

子どもが一人で取り組むには難しい事も、周りの保護者や保育者のフォローがあれば何とか出来るような“ちょいむず”のレベルというのがポイントです。その「頑張ったらできそう!」というレベルが、諦めずに繰り返し取り組む意欲を生むからです。それはやがて「一人でできた!」という大きなステップへと繋がっていきます。最初からできてしまうこと=簡単すぎる、一人ではまったくできないこと=難しすぎる…ので、その真ん中のレベルという事です。それができた時には子どもはぐんと伸び、「自立・自信」を手に入れます。

年長さんはそれにプラスして、友達と力を合わせてやり遂げる醍醐味、自分達でどうやったらうまくいくかを考えてやり取りする時間、その結果となる満足感を味わって、ますます年長らしく花開いていけるよう導いていきます。

このように、運動会はただ見て頂くための行事ではなく、本番までの時間(過程)が何より大切です。その変化の様子を保護者の皆様に直接お伝えしたり、ブログやLINEでご紹介しながらお子さんの育ちを共有していきたいと思います。

運動会までの一か月、爽やかな青空の下、友達と一緒に楽しみながら、良い時間を過ごせたらと思っています。当日をどうぞお楽しみに!                   

                                     園長 佐々木 圭子

はるの風景

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少しずつ風景に色が加わり始め、「ああ、春だなあ」と思う瞬間が増えてきました。こぶしやレンギョウ、ムラサキツツジ…もうすぐ桜も満開になりそうですね。

足元にはアリが歩き、気の早いモンシロチョウも見かけました。北海道の春は“季節が変わりましたよ”のしるしがとてもわかりやすいので、子ども達とも見つけながら楽しみたいと思います。

朝の玄関でも、春の風物詩(⁈)とも言える、子ども達の泣き声や、お母さんとの別れがたい姿が見られていますが、少しずつその時間が短くなり、靴を脱ぐのも早くなってきました。進級した子ども達は、張りきって「おはようございます!」と挨拶する子が増え、新しいお友達をクラスまで連れていってくれる姿も見られます。手を繋ぎながら、ちゃんと少しかがんで言葉をかけてくれている後ろ姿を見るとぐっときます。お兄さん、お姉さんに見える子ども達も、つい先月までは年少さん、年中さんだったのですから、きっと内心は初めて出会うお友達に、どきどきしている事でしょう。それでも勇気を出して声をかけ、優しく接する姿に、心の中で大きな拍手を送っています。

「自分がしてもらった事を、小さい人たちにもしてあげたい」「今度は自分の番!」という気持ちが原動力になっているのだと思います。そしてこの経験の積み重ねで自分も成長していくのですね。

「みんなからもらったバトンはちゃんと引き継がれているよ~!」と、一年生になった卒園生にも大きな声で届けたい気分です。

さて、4月は様々な「はじめて」が満載だった子ども達。友達や先生や、園生活の環境全てから色々な刺激を受けながら、自分の力を最大限に使って頑張っています。制服のボタンを一つ留めるのにも、長いこと下を向きながら挑戦していたり、シール帳に貼るシールをどれにするか迷い、そうしてやっと貼ったと思ったら、一つ下の欄だったり…(残念!)と、一つずつの作業にたっぷりと頭と手と時間を使っています。そんな今だからこそ、大人もできるだけじっくり関わって、一つずつの作業がすっと浸み込んでいくように丁寧に伝え、できた時にはいっぱい褒めています。

時には“帽子をかぶるのがいや!”だったり、“トイレにいくのがいや!”だったり、“順番に並ぶのはいや!”だったり、たくさんの“いや!”もあります。もう頑張りたくない!疲れちゃった!がそうやって出てくるのです。大きな泣き声のおまけつき!の事もあります(笑)。

面白いなあ、可愛いなあ・・と思って見ていますが、これも一時の事。いつの間にか、自分から帽子をかぶってみたり、友達の後ろに並んだりできるようになっていきます。小さな葛藤を積み重ねて、頑張って、ちょっとずつ幼稚園の、そして社会の子どもになっていくのですね

そして連休明けは、園生活のリズムを取り戻すのにまたちょっとかかると思いますが、ゼロに戻るわけではありません。ちゃんと積み重なったものがありますので、あまりご心配なさらずに、笑顔で背中を押して頂けると嬉しいです。5月からは本格的に様々な活動が始まります。またみんなが笑顔で過ごせますように・・・楽しみにお待ちしております。     

                                     園長 佐々木 圭子