やさしいきもち

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園の周りの樹々も綺麗に色づき、季節は晩秋に向かっている事を実感します。吐く息も白くなり、ストーブが恋しい頃となりましたね。

さて、先日、コロナ禍でずっと控えていた街中でのショッピングに、とうとう踏み切った時の事です。  そこで本当に久しぶりに、お店のスタッフさんと会話をしたのですが、その店員さんが実に親切で、私がした1つの質問に対し、丁寧に答えてくれただけでなく、さらに私にとって「より良いであろう」と考えてくれた情報を2つも3つも教えてくれたのです。そのお陰で私は2時間半という時間を無駄にせずに済み、且つ必要な物を手に入れる安堵感も味わいました。まず私の話を聞いて、どうするのがベストかを判断し、自分の知っている限りの事を、一歩踏み込んで教えて下さった若いスタッフさんのプロ意識に感動しました。しかも素敵な笑顔付き!私も精一杯の御礼と感謝を伝えたのでした。                 

これができるのは「仕事だから」…だけではないのです。むしろ、「仕事だから」、という意識を持っていてはできない事かもしれません。相手に対する的確な答え、そして真摯な姿勢とコミュニケーション力…それは、親切心や相手に寄り添おうとする誠実さからきているものです。自分もそうでありたいなあ…とすっかり感心し、その日はずっと温かい気分で過ごしたのでした。

そんな若い人から気づきを貰っているような私ですが、子ども達との会話の中で自分なりに大切にしている事があります。それはほんの小さな事でも、気づいた時には伝えてみる事。「この色、とても似合ってるね」「〇〇ちゃんに、すごく優しく教えてあげてたね、見てたよ」…などなど、ごく個人的な言葉のやり取りを、後でちょっと嬉しく思い出してくれたり、あるいは自信になってくれたら良いなと思っているからです。ですが、その会話が個人的なものであればあるほど、そばにいた子はほぼ100%「あのね、ぼくもね、さっき手伝ってあげたんだよ!」「わたしも、この色の服を持ってるよ!」と自分の事を一生懸命伝えてくれるので、一瞬で聖徳太子状態になります(笑)。みんないっぱいいっぱい褒められたいのですよね。

そしてそんな場面から、誰かが喜んでくれる嬉しい事や、優しい事を伝えるという“ふるまい”を、感じてくれたらいいなとも思っています。大人が言ったりやったりしている事を、子どもは真似したがります。他の事でも当てはまりますが、口で言われた事より、目で見た行動をそのまま真似したくなるのです。

褒められた子も、褒めているのを見た子も、きっといつかそれを真似するでしょう。だからこそ気が付いた時に、良い事や素敵な事を、その場で伝えるようにしています。相手に優しい言葉を伝えている時には、自分も優しい気持ちになっている事に気づきます。子どもとの世界はそんなやりとりで満ちているのではないでしょうか。  

思いやりのある子に育って欲しい、優しい子に育って欲しい…そんな祈りが通じるように、私達大人が、子どもが真似したくなるような優しい姿を見せていきたいものですね。                           

                                     園長 佐々木 圭子

神様、お父さんお母さん、お友達、先生達・・・
たくさんの優しさに包まれて、健やかに大きくなりますように・・・

実りの秋

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朝夕はすっかり涼しくなり、季節の移り変わりを感じます。園庭のほおずきも橙色に染まり、本格的な秋の訪れを告げています。これからどんどん夜が長くなっていきますね。

さて、幼稚園はお店屋さんごっこに向けて、グループ活動が始まりました。バラエティに富んだ4つのお店が開店します!お店屋さんごっこを楽しめるように、できるだけリアルなイメージを持てるようにと、子ども達と相談しながら、先生方も工夫を重ねています。例えばおすし屋さんでは、マグロの解体ショーから始まる!といった具合で、見ているだけでも楽しいです!

お店屋さんごっこの活動のねらいは大きく2つあります。

クラスや学年を超えて、普段あまり交流のなかった新しい仲間と関わり、一緒の時間を過ごし、友達関係の幅を広げていくという事。

もう一つは、様々な素材に触れ、創意工夫しながら、制作活動を楽しみ、協力して一つの物を創り上げる達成感を味わうという事です。

これは、ここ数年で耳にするようになった「非認知能力」を育てる事にも繋がる活動だと考えています。「非認知能力」とは、学力やIQなど数値で評価できる能力以外の、粘り強さや協調性、コミュニケーション能力、思いやり、自信、自制心などの幅広い力や姿勢を指します。学業や仕事など、子どもの将来にも大きく影響すると言われ、特に、幼児期から育成することが大切だと言われています。

今回、普段あまり関わりのなかった友達と、話し合ったり、時にちょっともめたりしながらも、

「どうやったらうまくいくか?」を考える事は、新鮮な刺激になるでしょう。他の子のやり方をじっとみて、考えて、そこから得るものも大きいでしょう。大人が教えるより、子ども同士で観察している時の方がすんなり理解できる事も多いからです。活動を進めていくうちに、自然と役割が生まれる場面も見られています。うまくいった時には、「やった~!」「楽しい!!」と共に喜び合い、さらに遊びに集中していきます。継続してじっくり取り組み、皆で完成させる事で、やりきった満足感や、達成感を味わえるように、導いていきたいと思います。

活動が終わった後は「じゃあ、また!」と一仕事終えたかのように、お互いに挨拶をしてクラスに戻っていく子もいて、面白いです。仲間意識が少しずつ芽生えているのでしょう。

お家でも、初めて聞く友達の名前が出てくるかもしれませんね。

お店屋さんごっこができるまでの様子は、後日お手紙でもご紹介します。そして今年度は、実際どんな風に出来上がったのかをぜひご覧いただきたく、本番直前に参観日を予定しております。

人間関係の広まりと深まり。遊びこむ事、考える事。それを沢山経験できる、まさに「豊かな実りの秋」になる事を願いつつ、毎日を過ごしていきたいと思います。

                                  園長 佐々木 圭子

写真の絵本、いかがでしょう?

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夏休みが終わり、いよいよ2学期が始まりました。今年は暑すぎず、涼しすぎず…北海道らしい過ごしやすい日が多かったように思います。行動制限のない夏休みとはいえ、変わらずのマスク生活の中、色々と気をつけながら昨年より少しだけ自由な夏を過ごされたのではないでしょうか?私も車で遠出をし、一本の木を見に行きました。20数年来の再訪です。「はるにれ」という絵本のモデルになった、豊頃町にあるハルニレの木です。

「はるにれ(姉崎一馬)」                                 これは文字のない、写真だけの本です。一本のはるにれの木の四季を写しているのですが、そこには確かに言葉があり、厳しい自然の中で生きている木の命が伝わってきます。幼稚園の時にクリスマスプレゼントとしてもらったこの本が私は大好きで、何度も何度も開いたものでした。同じ北海道の中にある木だと知ったのはずっと後の事でしたが、季節ごとの写真が自分の身近な風景そのものだったので、吹雪の中で一人(一本)で立っているその厳しさは想像に難くなく、とても可哀そうに見えました。そして季節が巡り、青々とした葉をつけて陽を浴びている姿をみると、夏の日差しが自分の中にも蘇ってくる感じがして、それを楽しみました。その本を開くときは、いつも一人だった記憶があります。写真だけの世界に、自分なりのストーリーをつけてすっぽり入り込んでいたのでしょう。だからこそ大人になっても印象深く残っているのかもしれません。子ども達にも、そんな絵本と出会って欲しいなと思っています。現在、樹齢は150年だそうです。しっかりと葉が生い茂り、生命力に満ちていて、懐かしい友達に会ったような嬉しさを味わってきました。お近くをお通りの際は、ぜひ眺めてみて下さい。

そしてもう一冊、この夏イチオシの、これまた写真の絵本をご紹介します。

「くみたて(作 田中 達也)」

ミニチュア写真の絵本です。前述の本とは反対に、こちらは今年の春に出たばかりの新刊で、先生方にも人気です。普段どこの家にもある、すぐ手に取れるあれもこれもが、大変身!自分が小人になったような視点で見るとあら不思議!これを分解するとこうなるのかあ…という科学的な視点で見たり、よく見たら〇〇でできてるの?!と驚かされたりする楽しい本です。この絵本だけでなく、著者のミニチュア作品はダジャレをテーマにうまく作られていて、その発想につい笑ってしまいます。大人の方にもぜひ出会って欲しいなと思います(Instagramもおすすめです!)

今回は、ぜひ手に取って欲しいなという写真絵本二冊をご紹介しました。どちらも二学期より絵本の部屋で貸し出しします!

長い二学期も、こんな風に子どもと一緒の視線で、笑ったり、驚いたり、感じたり…そんな時間を過ごせる事を楽しみにしています。大人の中の子どもの部分のアンテナをしっかり張って、共感を大切にしていきたいものですね。今学期もどうぞよろしくお願い致します。             園長 佐々木 圭子

力いっぱい頑張りました!!~運動会によせて~

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これを書いているのは、運動会総練習、ちょうど夏至の日です。夏はこれからだというのに、明日から少しずつ陽が短くなっていく…という淋しいジレンマを感じながら、子ども達の姿を振り返っています。

今日現在、運動会予定日の24日は雨予報…園便りをお届けする日には、運動会が終わっているかわかりませんが、これまでの子ども達の様子をお伝えしたいと思います。

ここのところ、ある時は競技の補助として、またある時は撮影係として、各学年の運動会への活動に参加しているのですが、そうしているとあらためて年齢の違いがはっきりとわかり、面白いものです。

年少さんのかけっこを見ていると、子どもは「走る」という単純なそれだけの動作を、心から楽しんでいるのだという事がよくわかります。ただひたすら、自分の身体の力を思い切り使えるのが嬉しいのです。

「見て!わたし(ぼく)、こんなに早く走れるようになったよ!」と言わんばかりの、嬉しそうな笑顔に「生の喜び」がみなぎっています。周りと比べて遅いか速いか、ではなく、「自分はすごく速いんだ!」と信じて真っすぐにゴールを目指してくる姿は、まさに生まれて数年の命が、“与えられた生命力を謳歌している”ように映り、練習とはいえ、拍手せずにはいられません。

この「わたしって、ぼくって、すごいんだ!!」という事を信じて疑わない心が、この時期の子どもの尊さだなあと、それを本当に愛おしく思います。

この頃に子どもが口にする「わたし、ぼく、すごいでしょ?」には、思い切り「すごいね!」と肯定して返してあげる事がとても大切で、認めてあげて、一緒に喜んであげる事の積み重ねが、「根拠のない自信=自己肯定感」を育て、この先の歩みにも大きく影響するのだと思います。

そして年中さんや年長さんになると、「自分はすごい!」から、周りを見るステップに移り、「自分だけじゃなく、皆もすごい!」からこそ、勝ち負けがあるという事を知り、結果も意識し、上手にできる事を目指すようになります。これはこれでものすごい成長です。

勝った時の喜びを味わい、負けた時には涙するほどの悔しさを感じ、その感情の波が「今度こそ(次も)勝ちたい!」というバネになります。練習中に「もう一回やりたい!!」の言葉が出てくるとしめたものです。目標が定まり、もっと挑戦したいというスイッチが入ったという成長の証しです。

更には友達と協力して取り組む事で、喜びも、悔しさも、一緒に経験し、共感する場面が増えます。この“共感する”という経験がとても大事です。自分の気持ちを表現し、相手の気持ちも自分と同じだと理解する、という「共感力」が「人を思い遣る」事ができるようになる土台だからです。運動会の活動の大きな目的はそこにあります。身体を存分に使いながら、心の育ちをしっかり見守っていきたいと思います。

さて、今年はどんなドラマが生まれるでしょう。大人も子ども達の頑張りに“共感”しながら、素晴らしい時間を過ごせますように…  

                                        園長 佐々木 圭子  

そして、7月1日、無事に運動会を開催できました!

見てみて!!

こんなに早く走れるよ!

全速力で頑張ったね!

追いつくぞ~!!

クラスのみんなのために走ります!!

子ども達の表情を並べてみると、その年齢ごとの良さがよくわかりますね。皆よく頑張りました~!  

                                                      

ごあいさつ

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5月の気持ちの良い青空の下で、元気に遊んでいる子ども達です。幼稚園生活のリズムにも慣れてきて、気持ちに余裕がでてきたのが表情に見て取れます。  

それと同時に、最近とても嬉しかった事があります。それはご挨拶がとても上手になった事です。

「小さい子や、お母さん、それからお客さんが幼稚園にきたら、ご挨拶してね」と機会があるごとに伝えています。でも、初めはもちろん難しく、ちらっと見てはいても、声を出せなかったり、視界には入っているはずなのに、すうっと前を通り過ぎたりする事も多かったのですが、「こんにちは」と自分から声をかけられるようになった子が増えてきました。

特に年長さんは相手の顔を見ながら、大きな声で言えるようになり、相手のお母さんやお客さんが「こんにちは」と笑顔で答えてくれると、照れながらもとても嬉しそうにしています。

実はここまでくるには足掛け2年かかった子もいます。だからこそ、私達の嬉しさもひとしおです。「挨拶できるようになってる!!」と心の中で拍手して、後で「素敵だったね~!」といっぱい褒めています。

ご家庭ではいかがでしょうか…?

お家に帰ってからは、「ただいま」「おかえりなさい」から始まり、「いただきます」「ごちそうさま」「おやすみなさい」…そしておはようございます、でまた新しい一日が始まります。その間には、何度も「ありがとう」「どういたしまして」のやりとりもあるでしょう。

家族だからこそ、言わなくても通じる場面が多いと思いますが、あえて口にしてやりとりをする事が、外の社会で挨拶する時の勇気になり、そして挨拶ができる事は大きな自信になります。

挨拶には「心を開いて接する」という意味があるそうです。一日の初めに、初めて出会った人に、一言声をかけて、そこから相手と視線を交わし、会話が広がっていきます。自分から声を出して挨拶をする、そして挨拶が返ってくる、この心地良さを味わえるようになってほしいなと思います。

その人の疲れに「お」をつけて 「さま」までつけて

「おつかれさまです」と声かける ぼくらの日々

(斎藤 和義 「おつかれさまの国」より 作詞 一倉宏 作曲 斎藤 和義)

そして日々のお仕事に、子育てに、お忙しい保護者の方には「おつかれさま」のご挨拶を贈ります。

お子さんの健康のために、幸せのために、毎日登園に遅れないように、ちゃんと服を着せて、髪を結んで、忘れ物をチェックして、お弁当を作って、リュックサックを持たせて送り出してくれる、毎朝の準備だけでも大変な事だと思います。本当に「おつかれさま」です。

お預かりした大切なお子さんが、園で一日楽しく保育を受けて、「ただいま!」と元気に帰れるよう私達も努めていきます。明日も子ども達の良い一日を、一緒に作っていきましょう!

園長 佐々木 圭子

運動会の練習、張り切っています!
頑張ったからこその悔し涙、かっこいいです!!