歌の世界へ

Posted Posted in 園長先生からのメッセージ日々の子ども

気付けば6月ももう終わり…蝦夷梅雨などと言われる季節ですが、今年は雨の日が少なかったように思います。それでも、やはり“6月は雨”のイメージには変わりなく、だからこそ楽しみにしている事があります。それは、保育室から聞こえてくる大好きな歌を聴く事です。

「にじ」と「あめふりくまのこ」。この2曲はしっとり、ゆったり、優しくて、どこか懐かしいメロディラインが心に響きます。子どものための歌は沢山ありますが、特別な空気感とでもいいましょうか、歌っている人も、聴いている人もつい首を傾げながらテンポに浸ってしまうのです。「あめふりくまのこ」は小さい時から大好きな曲で、「にじ」は幼稚園で出会って感動した曲です。

子ども達の声で聴くのが一番沁みますが、最近ではCMでも使われていますので、耳にされた方もいらっしゃるかと思います。

「  にわのシャベルが一日ぬれて 雨があがって くしゃみをひとつ

くもがながれて 光がさして みあげてみれば

ラララ にじがにじが 空にかかって

きみのきみの 気分もはれて

きっと明日はいい天気 きっと明日はいい天気  」

「にじ」 より 作詞 新沢としひこ 

歌というのは形のない絵本だな…といつも思っています。心の中に風景がぱあっと広がって、知らないうちにその世界に入り込めるのが歌の持つ力であり、楽しさだと思うのです。同じ歌を歌っていても一人ずつの心の中の風景は違います。そっと覗いてみる事ができたらとても楽しいでしょうね。

だから、子ども達に歌を教えるときは、私はとても慎重に、そして言葉に心を込めます。歌の醍醐味を「味わえる」ようになって欲しいからです。初めての歌に出会った時の子ども達は、先生に倣って、もごもごと小さく歌詞をつぶやきながらも、どこか目は遠くを見ていて、ぽおっとしたような表情をしています。

きっと今聞いたばかりの言葉を紡ぎながら、一生懸命想像しているのでしょう。

大人になった時にも、ふと口ずさんでしまうようなほっとする歌、ちょっと元気になる歌がそばにあって欲しいなあと思います。

さて、こんな6月。子ども達は雨のテーマの制作も楽しみました。それぞれのクラスでとても素敵な作品が飾ってあります。絵の具やペンを使った、涼やかでカラフルな作品たち。壁に貼ってあったり、ぶら下がってゆらゆら揺れていたり…先生たちのアイデアと子ども達の個性の合作です。今はまだ残念ながら幼稚園でご覧頂く事が難しいので、近々ブログでご紹介しますね。お楽しみに!          園長 佐々木 圭子

きっとあしたはいいてんき

おはようございます!

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チューリップや芝桜、水仙に八重桜と、どこを見ても鮮やかな色合いに、ほっと癒される季節がやってきました。4月には泣いていたお子さん達も、今ではすっかり落ち着いて、園庭で元気に遊ぶ姿を嬉しく思ってみています。

朝の玄関でも、だいぶ様子が変わってきました。最初の一か月くらいは「〇〇ちゃん、おはようございます」と一人ずつ名前を呼んで、意識的に子ども達の目の高さに合わせながらの挨拶を続けてきました。“あなたにご挨拶しているよ”という気持ちを込めて…。バス2台がほぼ同時に園に着くと、玄関がいっぱいになり、周りの誰かが言っている挨拶にかき消されてしまう事もあるからです。

マスクの中の小さな「おはようございます」を何とか聞き取っていたのが、最近では玄関に入ってくると同時に「おはようございます!」と大きな、張り切った声で言ってくれるようになりました。これには実は在園児のお兄さんお姉さんも一役買っています。ちゃんと先輩達の挨拶の様子を見て、聞いて、真似しているからこそできること。自分たちの気づかないところでも、下の子の良い見本になってくれています。

そして、気持ちに余裕が出てきたので、自分から色々なお話もしてくれるようになりました。会話の中身はというと…今日のマスクの模様について、おにぎりの具について、新しい靴について、半袖Tシャツについて(子ども達は、シーズン初めて半袖を着る日は、特別に嬉しそうなんです!)、鬼滅の刃のキャラクターについて、お母さんやお父さんが昨日話していたセリフについて(恐れないでください、大丈夫です)、…などなど尽きる事がありません。ご家庭で幼稚園の事を話すことも増えているかもしれませんね。

でも中には、幼稚園の事はほとんど教えてくれないんです…と心配される方もいらっしゃいます。「今日は何したの?」「誰と遊んだの?」「楽しかった?」と聞きたくなるかと思いますが、“聞かれたら答える”というリズムが当たり前になってしまうと、自分から話したいタイミングを見つけられないようになってしまう場合もあります。さりげない会話の中から、きっかけを引き出してあげられると良いかもしれませんね。

さて、こうして園生活のリズムを掴み、友達と、そして先生との会話も増え、ちゃんと“社会”になじんでいっている子ども達ですが、次のステップは“初めての事にも興味をもって、やってみたい!と思う事”、“それにチャレンジしてみる事”です。ちょうど運動会への準備も緩やかに始まり、かけっこをしたり、踊ってみたりと、部分的に活動に取り入れています。列になって並んだり、体操をしたりというのも、少しずつ上手になる事でしょう。

しかしながら相変わらず緊張が続く感染状況であり、今後やむを得ない日程変更の可能性もありますが、子ども達の気持ちが続き、はりきって取り組めるような環境を整え、取り組んでいきたいと思います。

                                       園長 佐々木 圭子

おべんとう だ~いすき!
「ここにはいってるのな~んだ?」
 正解はミニトマトでした!
お友達と一緒に食べるとおいしいね!

マスクのなかは・・・

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幼稚園は新入園児さんを迎え、賑やかな毎日です。靴箱やロッカーの場所を覚え、靴の脱ぎ履きも上手になってきました。シールを貼ったり、上着をハンガーにかけたりする時は、近くにいる年中さんや年長さんが一生懸命お世話してくれています。一つ進級したという自信と自覚が、行動に表れ、頼もしさを感じています。

入園してまもなくのある日、「おかあさ~ん!!」とずっと泣いているお子さんを見守っていた時の事です。このような時は、手を握ったり、背中をそっとさすったりすると、落ち着くことが多いのですが、少しでも傍によると、すっと距離を取られてしまい、なかなか近寄らせてもらえません。「さて、どうアプローチしようかな?」と思っていた時、お子さんのマスクの上の目が、「お母さ~ん!」と泣きながらも、私からずっと目をそらさない事に気づきました。「これは…??」と思い、試しにマスクを下げ、にこっと笑いかけてみました。

するとその瞬間にぱっと顔が変わり、泣き声が少し小さくなったのです。「ああ、やっぱり…」と思い、そのまま笑いかけていると、ほどなくして初めて笑顔を見せてくれ、そして大好きなトミカについて質問すると一生懸命教えてくれました。その後は私がマスクを戻しても、手を握って一緒に歩いたり、膝に乗って絵本を見たりする事もできました。

やはり、表情が見えないという事は、こんなにも影響するのだなとつくづく思いました。

ご家族から初めて離れてきた場所、初めて会う先生や友達…不安はもっともです。“この人は信頼できる大人なのかな…?”表情の代わりに、雰囲気や言葉から様子を伺っていたのでしょう。

“大丈夫だよ、これから一緒に過ごす仲間=先生だよ”…という気持ちを込めた(つもり)の、たった一瞬の笑顔が、不安をすっと解決できる事を知った出来事でした。やはり笑顔が安心への一番の特効薬なのですね。

「見えないけれど、マスクの中は笑顔だよ」と分かってもらえるよう、更に目の表情や言葉の柔らかさで伝えていかなければと思いました。いつかマスクなしで思いきり笑いあえる日を願いつつ…

さて、その子はというと、次の日もまた泣きました。でも泣いている時間はかなり短くなり、前日に一緒に見た絵本を自分から見つけてきて、開いて見ることもできました。

そして三日目の朝、玄関で「先生、来たよ」と言ってくれました。控えめに、小さな声で…

それがとてもとても嬉しかったです。

こんな日々の繰り返しで、少しずつ全員が「虹の森カトリック幼稚園の子ども」になっていきます。連休明けもお子さんが不安を感じやすいタイミングではありますが、ご家族の皆様にも背中をそっと押して頂けると嬉しいです。五月晴れのような笑顔が見られるのを楽しみに、お待ちしております。

                   園長 佐々木 圭子

                

                                     

はじめのいっぽ 2021

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春がかけ足でやってきたように感じる今日この頃、幼稚園でもふきのとうやクロッカスが顔を出しました。ちりばめられた小さな春を見つけると、心がほころびますね。

さて、今年もまた、一つ進級した子ども達と、そして新しく仲間になる子ども達とが出会い、幼稚園が一年中で一番きらきらとした季節を迎えます。

ご家族の元から「はじめの一歩」を踏み出して初めて飛び込む社会、それが「幼稚園」です。この幼児期の2年、3年は私達大人の何倍ものスピードで、まるでスポンジが水を吸い込むように物事を吸収し、成長していきます。

子ども達は子ども達自身の関係の中で成長します。お友達を育て、自分も育てられます。大人がどんなに頑張っても与えてあげられないやりとりが、そこには存在します。

自分の気持ちを言葉にして、それを伝えあい、気持ちを感じあう経験をします。いっぱい笑って、時々けんかもして、泣いたり、慰めたり、励ましたり、励まされたりする経験もします。その積み重ねの中で、自分がしてもらって嬉しかった事を、友達や家族にもしてあげたいという気持ち、そして自分がされて嫌な事は、周りの人にもしない、という人間関係を築く大切な力が育っていきます。

お子さん達は、最初はお母さんと離れる淋しさから、涙をこぼすかもしれません。そこから「はじめて」のハードルが連続でやってきます。よいしょ!よいしょ!と一つずつ飛び越えるうちに、どんどん逞しくなっていくのです。これからの1年で、どんな事を感じ、どんな言葉で話し、どんな表情を見せてくれるのでしょう。ご家族の皆様と、お子様を真ん中に、手を取り合って成長を見守り、喜び合っていける園生活を共に創って頂けましたら嬉しいです。今年度もどうぞご理解ご協力を宜しくお願い致します。

園長 佐々木 圭子

笑顔のちから

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     「イエスさま わたしに いつでも笑顔を 

        あふれる感謝を 許せる心を

 どんな時でも どんな人にも 与える愛を 愛をください」

これは子どもたちがいつも歌っている「愛をください」という聖歌です。私はこの曲がとても好きです。子どもたちの歌声でこの歌を聴くと、「ああ、本当に良い歌だなあ。大人もこうありたいなあ」と歌詞の深さに何度も気づかされます。

この歌にあるように、子ども達にいつも持っていて欲しいもの、それは何といっても笑顔。そして自分を大事にする事、周りの人のことも大切にできる事。わたしを、ぼくを、いつでも一番に思い、自分より自分の事のように思って行動し、喜び、悲しんでくれるお母さん、お父さんがいる事。愛されている事への気づきと、それに対する「ありがとう」の気持ち。与えられることよりも、与える事を喜べる愛の気持ちです。

卒園する年長さんは、小学校で新しい世界が待っています。楽しいこと、わくわくする事がたくさんあります。同時に、初めて見るカラーの友達との生活の中で、時に理不尽な経験、心の痛みもあるでしょう。  

そして保護者の方は、お子さんの心に自分自身の経験を重ね、大人の手が届かない「子どもだけの世界」の歯がゆさや、やりきれなさを感じる事もあるかもしれません。そのような時にこそ、「自分でできるように手伝ってね」というモンテッソーリの心を思い出して頂きたいと思います。自分でハードルを乗り越えていく力をつけるためにはどうしたらよいのか、どんな言葉で自分の気持ちを伝えたらよいのか、周りの友達とどのようなコミュニケーションをはかったら良いのか、一緒に考えながら背中を押してあげて頂きたいと思うのです。傷ついても帰れる場所がある、絶対的な味方がいつもそばにいてくれる事を知っている子は、もっと強く、もっと優しくなれる事でしょう。傷が癒えたらまた勇気をもって外の世界に行けるはずです。

最後に、お母さん、お父さんにこの祈りを贈ります。

            主よ、慰められることより 慰めることを
             理解されることより 理解することを、
              愛されることより 愛することを、
                わたしが、求めますように

         (アッシジの聖フランシスコ 平和を求める祈りより)

この一年は誰にとっても大変な、心が折れそうになる一年でした。生活がどんどん変わっていく中で、変わらない心でいる事の難しさも知りました。落ち着かない日々の中で、この祈りが心の平静をすっと取り戻したい時の一助になると嬉しいです。そして園生活においても沢山の変化を強いられる状況でしたが、皆様の温かいご理解ご協力を頂けました事に心より感謝申し上げます。直接お会いできる機会は少なかったですが、皆様のまさに“変わらぬ笑顔”に何度も救われました。健やかで明るい日が、一日でも早く戻ります事をお祈りしております。

                    園長 佐々木 圭子

                              

    

この笑顔がいつまでも守られますように・・・