園長先生からのメッセージ日々の子ども

オリンピックの涙

事のない猛暑が続き、“北海道らしい涼やかさ”の恩恵は少なかったと感じる夏休みでしたが、ご家族皆様、お元気でお過ごしでしたでしょうか…?

そしてオリンピックがこの夏をさらに熱くしていたようにも感じました。開催については開幕直前まで本当に色々な事がありましたが、大人の事情はちょっと横に置き、子ども達が初めて見るスポーツを目にして、「これは何をしているんだろう?」と興味を持ったり、家族と一緒に応援したりという経験はとても良い事だったと思います。

オリンピックの選手の活躍を見ていると、彼等に憧れてスポーツをはじめ、一生懸命練習し、やがてその中から次世代のオリンピアンが生まれる…スポーツはいつの時代にも、言語を超えて心を動かすものだという事にあらためて気づかされます。

そして、そのオリンピックを姪っ子と一緒に見ていた時の事です。柔道で78キロ級の女子選手が金メダルを取り、涙ながらにインタビューに答えている様子を、彼女はじっと見ていました。その後続けて100キロ級の男子選手も金メダルを取り、目頭を押さえながら膝をついた様子を見たところで、「どうして泣いてるの?」と聞かれました。

私は「一生懸命試合をして、頑張って、金メダルをとったからね!」と答えたのですが、腑に落ちない様子で、数秒後に「どうして泣いてるの?」ともう一度聞いてきました。

そこで初めて「ああそうか、嬉し涙を見たことがないんだ!!」と気づきました。二歳半の彼女は、例えば注射の時や、「もっと遊びたかった!」の時…痛かったり悲しかったりの時にしか自分は涙が出ないのに…でも、大人が、しかも喜んで泣いている、という事が理解できなかったのでしょう。それでも、「すごく嬉しい時にもね、泣きたくなる事があるんだよ。いっぱい頑張った時にはね、涙が出るんだよ」と伝えたら、ちょっと笑ってその後はまたじっと画面を見続けていました。  

まさかオリンピックを観ていて、こんな瞬間に立ち会うとは思ってもみませんでした。人生で初めて嬉し涙を知った日。彼女がどんなに大きくなっても、私はきっとこの時の事を忘れないだろうなと思います。

さて、幼稚園のオリンピック(?!)である運動会を今年も9月に開催します。当日までの活動を通して、「最後まで一生懸命頑張る事」、「友達と力を合わせて頑張る事」、「応援して、応援される喜び、楽しさを経験をする事」を目標に取り組んでいきます。

今年度も感染防止対策にご協力頂きながらの開催となりますが、保護者の皆様と共に、お子さんの頑張りを共有できる時間を楽しみにしております。

二学期もどうぞよろしくお願い致します。

                                  園長 佐々木 圭子