園長先生からのメッセージ日々の子ども

冬のしたく

銀杏が鮮やかな黄色に色づき、ななかまどは実も葉も赤くなってきましたね。

寒い朝が増え、子ども達の上着にはひも付きの可愛い手袋がぶらさがる季節になりました。 

先日、玄関で帰るお子さんを見送っていた時の事、五本指の手袋になかなか指を入れられず、じっと手袋を見つめている3歳のお子さんがいました。指が入っていない所と、ぎゅっと二本入っている所があるのです。「まだちょっと難しいねえ」とお手伝いさせてもらいました。親指から一本ずつ、「お父さん指はここ、お母さん指はここ…あれ?お兄さん指がいなくなっちゃったね??ちょっと上にひっぱってみるよ」などと言いながら一緒にやり直しました。初めはじっと見ていただけの子も、だんだん楽しくなって、「赤ちゃん指は、入るかな?」と一緒に指を動かし始めます。全部入ってすっきり、にこにこになりました。

このようにちゃんとそれぞれの位置におさまった時の心地よさを体感すると、一つの穴に二本の指が入っている窮屈さに「あれ?なんか変だなあ」と自分でやり直すようになります。最初にゆっくり関わって教えてあげると興味が湧くので、「自分でやってみたい!」という気持ちが育つのはより早いと思います。

今回は帰りの時間だったので、一緒にやってみましたが、お子さんが初めて挑戦する事については、まずは「やって見せてあげる」のが一番です。その時には、見せながら、「ここはこうするんだよ」と言葉で同時に伝えずに、「見せるだけ」。視覚の情報だけに集中させると良いと思います。“見ながら話を聞く”という視覚と聴覚の2つの情報を同時に処理するのは難しい事です。例えばボタンやチャックなどの身支度について教えてあげる時は、大きめの見やすい物で練習すると、今見た行動を写し取るようにできる事もあり、その姿に大人が驚く事もしばしばです。

そして大人はつい手を貸してあげたくなるものですが、やってあげるのではなく「自分でできるように手伝ってあげる」という意識を持つと、自然と言葉がけやかかわり方も変わってきます。これはモンテッソー教育の基本であり、一番大切にしている事です。

時間がある時には、「やってみる?ちょっと見ててね」と言って、まずは見せてから一緒にやってみてください。お子さんが集中して頑張っている間は、大人も手と口を出さないようじっと我慢です。そして、できた時にはたくさん褒めてあげてくださいね。それは同時にお父さんお母さんの大きな喜びにもなるでしょう。

衣替え、冬支度は自分でできるようになるチャンスです。雪景色、冬の遊び…それらを想像しながら、冬を楽しみに待てる時間になるといいですね。

                                       園長 佐々木 圭子

 ツタの葉っぱも秋の最後を彩っていました…