暑かった夏休みも終わり、いよいよ2学期が始まりました。今年はオリンピックもあり、更に“熱さ”も感じた夏でしたね。パリとは時差があり、リアルタイムでの観戦は難しいなと思っていましたが、初めて見る競技や日本のお家芸と言われる競技、それぞれのオリンピックならではの迫力に引き込まれ、つい夢中になって夜更かししてしまいました。世界の選手の前では、日本人はどうしても体格的に不利な競技も多く「これは勝てそうにないかな…」とつい思ってしまうものもありましたが、だからこそ、果敢に挑み、そして技で勝ち上がっていく姿に大きな感動をもらいました。
子ども達にも、1学期終業式に「オリンピックを見て、すごい選手たちを応援して楽しんでね」と伝えました。様々なスポーツを目にして、一瞬でも「わあ!すごいな!」と思ったり、勝つ姿、負ける姿、頑張って挑戦している姿を見て、何かを感じたり、スポーツそのものに興味を持ったり…と、4年に一度の祭典を楽しめてたらいいな…と思いつつ観戦していました。
さて、この夏休みに感動したものは他にもありました。楽しみにしていた鳥獣戯画(京都 高山寺展)と妖怪(水木しげるの妖怪百鬼夜行展)達に出会い、子どものようにわくわくしてきたのですが、もう一つ、ぜひ子ども達にも見せてあげたい!と思ったのが、絵本作家の降矢ななさんの原画展でした。これがとても美しく、素晴らしい展示でした。「めっきらもっきらどおんどん」「やまんばのむすめ まゆシリーズ」「おれたち、ともだち!シリーズ」は子どもたちにも人気の絵本です。特に「めっきらもっきら…」は、原画の前を行ったり来たりして何度も眺めてきました。まだ勤めて間もない頃、この絵本に出会い、面白さに引き込まれ、初めて自分で買って読み聞かせた思い出深い本です。それからも毎年、担任した子ども達に繰り返し読み聞かせてきました。
言葉がころころとリズムよく転がり、ページをめくるごとに場面変換にわくわくし、特に途中でページが縦になるのがその頃はとても新鮮で、子ども達もそこにくると必ず「わあ!」と声をあげて笑っていたのを覚えています。おまじないのような言葉も耳に残り、読み終わった後に不思議な世界から現実の世界に戻ってきた感が、主人公と一緒にリアルに感じられる、まさに絵本の世界に入り込めるおすすめの絵本です。機会があったらぜひお子さんと読んでみてください。
そして降矢さんの絵本の素敵なところは、最後にはいつも「家族」や「ともだち」のところに帰ってくるところです。主人公は、沢山の人や動物や、その他不思議な生き物と仲良くなって、遊んだり、泣いたり、笑ったり…と、いっぱい冒険して、でも最後にはちゃんと家族が待っている場所へ帰ってくる…そんなホッとする温かいラストがとても魅力的です。子ども達の生活もそうであったらいいなと思います。外の世界で、いっぱい身体と頭を使って、色々な経験をして、そして安心できる家族の場所に帰ってくる…その繰り返しで豊かで逞しい心が育っていくのでしょう。
そんな夏の余韻を感じながら、2学期も「わくわく」や「へえ~っ?!」や「すごい!」をいっぱい経験してもらえるよう子ども達と過ごしていきたいと思います。今学期もどうぞよろしくお願い致します。
園長 佐々木 圭子